栄養成分を補うサプリメントと薬
病院に行ってビタミン剤が処方されることがあります。眼科にいくと黄色い液体やピンクの液体をもらうことがありますし、コンビニなどにもビタミン剤が置いてあります。ビタミン剤は薬なのでしょうか、それとも薬品なのでしょうか…
海外では販売されているのに日本では販売が許可されていない栄養成分を補うサプリメントがあります。なぜ同じものが国によって違うのでしょうか。
まず、薬の定義を確認しておきます。広辞苑で「薬」を調べてみると、次のように書いてあります。
1.病気や傷を治療するために服用または塗布・注射するもの・水薬・散薬・丸薬・膏薬・煎薬などの種類がある。
2.釉薬(ゆうやく)のこと。
3.火薬のこと。
4.心身に滋養・利益を与えるもの。
2と3はここでは関係ありません。1と4が関係ありそうです。
日本の「薬事法」で薬の定義を見てみます。
1.日本薬局方に収められている物
2.人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、器具器械(歯科材料、医療用具及び衛生用品を含む。以下同じ)でないもの(医薬部外品を除く)
3.人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、器具器械でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く)
難しくてよく分かりません。
薬とサプリメントの違いって何なのでしょうか。
実は医薬品として薬局で販売するには、厚生労働省の承認が必要です。もし、薬になりそうな物質が見つかって「医薬品」として認めてもらいたい時には、有効性と安全性を確かめてから厚生労働省に承認の申請を行います。中央薬事審議会で審議の上、承認されてはじめて「医薬品」と認められます。医薬品は人体に与える影響が大きいために複雑な手続きを必要とし、莫大な時間とお金が必要です。
薬と言われるものには「副作用」というリスクがあります。このリスクを管理できるように、扱えるのは医師や薬剤師などの特定の免許を持つ者に限られています。
ビタミン剤は病気の治療にも使われているのに医薬品と呼ばれていません。もともとビタミンという栄養成分は食品に含まれる物質なので副作用がないからです(過剰摂取のリスクがあります)。副作用がなければ治療に使われるものであっても、医薬品と呼ぶ必要がないようです。「副作用のないもの=サプリメント」と考えることもできるのです。
今ではなじみのCoQ10(コエンザイムキューテンorコキューテン)ですが、かつては医薬品でした
日本ではもともと心臓疾患の医療品として使われていました。2001年の食品規制の緩和により健康食品として販売されるようになり、現在のブームに至っています。アメリカでは10年ほど前からCoQ10のサプリメントが販売されていました。
つまり、CoQ10の歴史をまとめてみました。表を見てわかるように、もともと心臓の薬として使用されていました。
こんな風に同じものであっても時代によって医薬品になったり、サプリメントになったりします。CoQ10は現在は食品に分類されているので、効果や効能を表示することはできません。何年か前までは薬だったものが突然サプリメントになったことをどう思いますか?アメリカのDSHEAようなサプリメントを定義する制度があった方が無理がなくてよいと思います。
イチョウ葉エキスは日本ではおなじみの健康食品(サプリメント)です。でも、ドイツでは医薬品として扱われています。日本の場合、イチョウ葉エキスは集中力や記憶力を改善したい人に愛用者が多いです。しかし、医薬品ではないので、効果・効能としてそういった表記はできないわけです。
イチョウ葉エキスの有効成分は、フラボノイドの一種のギンコフラボングリコサイドとテルペンラクトンが特に知られています。その他にも100種類以上の成分が関わっていて、相乗効果として体内で働くようです。
イチョウ葉エキスには有効成分の他にアレルギー誘引物質であるギンコール酸が含まれています。ドイツではギンコール酸は除去して5ppm以下にすることが定められています。日本では身体に必要な栄養成分を補うための食品として扱われているため、このような基準はありません。ギンコール酸の表記も義務づけられていないので、イチョウ葉エキスを購入するときには、慎重になる必要があります。
2つの例でお分かりのように、サプリメントと薬の境界線はあいまいで時代や国によって扱われ方が違います。一般消費者は有効成分を目当てにサプリメントを購入する傾向にありますし、メーカー側も有効な栄養成分の情報のみを流すことが多く、そこに潜んでいるリスクは陰に隠れています。


